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中世ヨーロッパで貴族たちに使えた宮廷道化師とは!?

►世界

宮廷道化師とは、中世ヨーロッパ、特にテューダー朝(かつてのウェールズの君主の末裔の家系にあたるテューダー家が開き、1485~1603年にかけて存在した王朝)の時代に支配階級の人々によって雇われたエンターテイナーです。

宮廷道化師は、ルネッサンス期を経て、イタリアのコンメディア・デッラルテに登場するパンタローネや、フランスのアルルカン、ピエロなどにも影響を与えたと言われています。

■宮廷道化師の役割と文化
中世の宮廷道化師たちは、物語を語って聞かせたり、歌や音楽、アクロバットやジャグリング、奇術など様々な芸を披露して、当時の支配階級の人々に娯楽を提供しました。また、当時の事柄や人物を笑いの題材にして、様々な歌や物語を創作して残しています。

宮廷道化師は、他の使用人たちと同じような服装の場合もありましたが、多くの場合は色鮮やかな斑模様の服装と風変わりな帽子を被っていました。現在でも、サーカス等で見られるピエロや、トランプのジョーカーの絵柄などに、宮廷道化師の服装の名残が見られます。

■宮廷道化師と支配階級との関係性
宮廷道化師とと支配階級(貴族など)との関係性としては、彼らは犬などのペットと同等の扱いを受けていました。滑稽な格好や言動などで主人や来客などの人々を楽しめ、自ら笑い者とされることが仕事だったのです。その役割ゆえに、小人症などの身体障害を持った者も多かったと推測されています。

しかし、宮廷道化師は、人間扱いされていなかったが故に、無礼な言動も許されていました。ただ楽しませるだけでなく、主人に対して批判的なコメントをすることも許されたようです。そのため、主人に対して発言力を持ち、政治にも強い影響を与えた道化師も存在しました。

シェイクスピアの悲劇『リア王』に登場する宮廷道化師は、自由に発言できる権利を活かして、主君に対し洞察や助言を行います。最も身分の低い道化師が、最も高貴な人物に対する最大の助言者として描かれているのです。このシェイクスピアの描いた宮廷道化師の姿は、当時の彼らの役割の一端を分かりやすく表現していると言えるでしょう。

■舞台演劇における宮廷道化師
舞台演劇における宮廷道化師は、物語の中で右往左往する貴族たちをからかい、観客を楽しませる役割を担っています。また、物語の流れに深く立ち入ることなく登場人物に干渉することにより、観客を物語の世界に引き込みつつも客観視させるという、ある意味で最も重要な役割をも担っています。

■日本でも同じような役割が存在した
日本でも、13世紀から18世紀にかけて、各地の大名に仕える「幇間(ほうかん)」「太鼓持ち」「男芸者」などと呼ばれる人々が存在しました。彼らの主な役割は、踊りや話術を披露して主人や客人の機嫌を取り、その場を盛り上げることです。また相談役や世間話の相手として、歴史上の要人に重宝されていたようです。